史料ガイド
『甫庵太閤記』(太閤記)ほあんたいこうき
後の時代の本 出来事から時間がたってから書かれたもの。よく知られた逸話の多くはここから出る
| 書いた人 | 小瀬甫庵(おぜ ほあん) |
|---|---|
| いつ | 1625年(寛永2)自序。秀吉の死後27年 |
| 使っている章 | 第一章「誰でもなかった兄弟」、第二章「兄に呼ばれた弟」 |
一どんな本か
秀吉の一代記として、江戸時代を通じていちばん広く読まれた本。のちの太閤記ものは、だいたいここから枝分かれしています。
二読むときに気をつけること
よく知られた秀吉の逸話の多くは、この本から現れます。日輪の夢、幼名「日吉丸」、父は「筑阿弥」、永禄元年9月1日の直訴、墨俣の「要害」── どれもこの本が、確認できたかぎりで最も古いものです。
注意したいのは、甫庵が話をつなげていることです。たとえば「日輪の夢を見て生まれたから日吉丸」と、秀吉側が広めた話(日輪)と幼名を結びつけています。秀吉が自分で語らせた話が、後の本に流れ込んで物語になっていく、その見本になります。
また、古文書の改ざんがあるとの指摘もあります(岩沢愿彦)。
なお、この本の墨俣の話にはまだ「墨俣」の地名も「一夜」も出てきません。それが加わるのは、さらに後です(『絵本太閤記』)。